お布施といえば、お葬式や法事のときなどにお坊さんに渡すお金のこと。
という解釈が一般的です。
しかし実は、本来の意味はそれだけではありません。
布施とは、お坊さんの修行の一つなのです。
お布施の本来の意味は、仏教の中でも特に重要なところです。
お坊さんが行うお布施の代表的なものは、法話をすることです。
お坊さんになると、檀家さんをはじめ、一般の方に向けて法話をする機会がたびたびあります。
でも、普段なじみのない仏教用語を使って話をしても、なかなか興味を持って聞いてもらえません。
お坊さんになるために勉強を始めたころ、言葉の意味・定義があいまいだったり、難解すぎてよくわからないものが多く、困惑したものでした。
「お布施」という言葉は、一般的にもよく知られています。
でも、その本来の意味はあまり知られていないので、法話でお話するには入りやすいワードです。
今回は、
お布施の本来の意味
布施がお坊さんの修行って、どういうことなのか
法話の勉強をする手段
についてわかりやすく説明します!
お坊さんの修行の基本「六波羅蜜」について知ろう!
六波羅蜜って何だろう
仏教は、2500年ほど前にインドで始まりました。
よりよい生き方を求めて出家した人たちが、修行の徳目にしていたのが、
六波羅蜜(ろくはらみつ)
です。
すなわち、
- 布施(ふせ)
- 自戒(じかい)
- 忍辱(にんにく)
- 精進(しょうじん)
- 禅定(ぜんじょう)
- 智慧(ちえ)
の六つです。
ほとんどが聞きなれない言葉で、現代の感覚に合わないものも多いので、全ての徳目の解説は省きます。
当時、お坊さんたちは、ストイックな集団生活をしていて、そのライフスタイルそのものが修行でした。
集団生活の規律を守ったり、心掛けたり、実践すべきことが、六波羅蜜に表されています。
ちなみに、5番目の「禅定」は、今でいうマインドフルネスのことです。
六つの徳目の中で、布施は1番目です。
修行の中でも特に重視されていたことがうかがえますね!
布施とはどんな修行なの?
布施は、3種類に分けられます。
- 財施
- 法施
- 無畏施
です。
それぞれ簡潔に説明していきましょう。
財施
金品を施すこと
お葬式や法事で包む「お布施」は、これにあたりますね!
法施
仏教をひろめること
お坊さんが法話をしたり、仏教学者が著書を発表したりするのは、これにあたりますね。
無畏施
人の不安を取り除いてあげること
精神科医やカウンセラーに期待される仕事ですね。
もちろん、お坊さんの仕事でもあるはずです。
つまり、仏教の考え方を用いて人の心を救うことが、お坊さんの大事な修行だということですね!
布施の意味は、お坊さん自身が行う修行のこと
お坊さんがするお布施とは?
このように布施というのは、実はお坊さん自身が行うものだったのです。
1つ目の「財施」はともかくとして、
仏教をひろめる「法施」
人の不安を取り除く「無畏施」
は、完全にお坊さんの仕事です。
お経には、仏教の教えが書かれています。
お経を唱えることは法施になるでしょうか??
お経を唱えていても、一般の方にはその意味がわからないので、仏教を教えていることにはなりません。
法施の方法の1つは、お経に書いてあることを法話という形で分かりやすく伝えることです。
法話の勉強には布教師研修会がオススメ
臨済宗では、布教師の資格を取るための特別講座があります。
合格すると、本山から適任証を与えられ、全国のお寺に巡教に行く機会をもらえます。
講座内容は、
- 事前に論文提出
- 布教師の資格を持つ講師(主監)による講義
- お題を与えられて法話作成・発表
- 発表に対するフィードバック
- 打ち上げ
期間は10日~2週間で、本山に泊まり込みの缶詰め状態。
お題を出されてから発表までは徹夜も当たり前という感じで、けっこうハードです。
大変ですが、法話の基礎を勉強するにはうってつけです。
正規の研修会以外でも、有志で勉強会を開催したりしていて、全体のモチベーションは高いです。
まとめ
今回は、お布施の本来の意味について解説しました!
布施とは、仏教の修行の徳目の1つです。
- 財施
- 法施
- 無畏施
の3つの布施行があります。
お坊さんがやるべき布施行は、法施、無畏施。
そのための主な手段は、法話です。
臨済宗のお坊さんとして法話の作り方を学ぶためには、布教師研修会が有効です。
法話の基礎から勉強することができます。
布施という言葉は、「布を施す」と書きます。
「施す」という言葉には「広く行き渡らせる」という意味があります。
柔らかい布を大きく広げて、優しく包み込むように仏教が広がって、不安や苦しみのない世の中にしたい!
布施という言葉からは、そんな願いが感じられます。
以上、最後までお読みくださり、ありがとうございました!