お坊さんにとって、お経を読むことは大事な仕事です。
あの長くて意味もよくわからないお経、いったいどうやって覚えているのでしょうか。
僕は、最初に経本を見た時、
「絶対ムリ!」
と思いました。
けれど、「ムリ!」と思ったお経、今は全て暗唱できます。
これは、自慢でもなんでもなくて、誰でもできるようになるんです。
僧堂で一緒に修行した仲間たちも、みんな半年もすれば必要なお経は全て暗唱できるようになっていました。
お坊さんたちは、お経をどうやって覚えているのか?
必ず、どんな人でもお経を覚えられる方法をお伝えします!
お経を覚える一番の近道は反復あるのみ!
ポイント①声に出して練習する
声に出して練習することは一番大事です。
なぜ声に出すことが大事なのでしょうか。
頭で覚える以前に、発音に慣れないと、舌がまわらなくて噛んだりつっかかったりするからです。
暗記以前のフィジカルな問題です。
反復して声に出すことで口が覚えます。
楽器を弾く人ならわかると思いますが、何度も練習した曲は指が覚えていて、譜面を見なくても弾けてしまいます。
スポーツでも、反復して同じ動作を練習することで、身体が覚えて勝手に動く、ということがありますよね。
映画「ベスト・キッド」の、“ワックスを塗って拭き取る”です。
分からない人はスミマセン笑
声に出して、口を動かして練習するということは、フィジカルに口や舌に動きを覚えさせる効果があります。
もう一つ、声に出すことで、自分の声を耳で聞くからです。
「門前の小僧習わぬ経を読む」
ということわざがあります。
和尚さんの読むお経を、掃除をしながら毎日聞いていた小僧さんが、いつの間にか自分もお経をそらんじることができるようになっていたということです。
音声を反復して聞くことは、暗記の近道です。
誰かが読んでいるお経を聞くことも効果的ですが、聞いてるだけだと眠くなります。
自分の声を耳で聞くほうが、積極的に頭が働くので、より効果的です!
ポイント②必ず毎日練習する
毎日です。
一日あたりの練習時間は少なくてもいいので、
毎日
というのがポイントです。
毎日20分、1週間練習する方が、
1日3時間練習して1週間サボるよりも
はるかに成果が出ます。
短期集中型の一夜漬けタイプよりも、
コツコツ毎日努力型の方が、長期記憶化されやすいのです。
長期記憶というのは、定着して忘れにくくなった記憶のことです。
何度も反復して記憶することで、長期記憶化されます。
ポイント③反復練習すること
「反復」という言葉をすでに連呼しまくっているので、もう言うまでもないかもしれませんが、
とにかく反復あるのみです。
劇的に覚えられる裏ワザ的なものは、ありません。
ひたすら繰り返し繰り返し、地道に練習するのが、実は一番近道です。
九九と同じです。
反復しまくって長期記憶化してしまえば、逆に忘れようとしても忘れません笑。
お経の意味を知る!
日本語のお経は覚えやすい
お経には、
- 日本語
- 漢文
- 陀羅尼(だらに)
の3パターンがあります。
日本語のお経が一番覚えやすいです。
理由は、
日本語のお経は、七五調で作られていて語呂がいい
日本語なので意味がわかりやすい
からです。
記憶は、意味づけされると定着しやすくなります。
学校の試験でも、意味がわからず機械的に丸暗記しようとしてもムリです。
逆に意味が理解できていれば覚えやすく、しかも忘れにくくなります。
漢文のお経も意味がわかると覚えやすい
たとえば、有名な「般若心経」は、漢文のお経です。
全部漢字です。
経本には読み仮名は書いてありますが、返り点のついていない白文が載っています。
返り点がついている経本もありますが、読み下し文が無いので意味はほとんど分かりません。
でも、漢文のお経は意味を調べられます。
「般若心経」は解説本がたくさんでていますし、その他の漢文のお経も読み下し文や現代語訳を書いた本はいくらでもあります。
なんなら、ネットでも簡単に調べられます。
意味が分かると、ただの漢字の羅列から、意味を持ったストーリーになるので、ぐっと覚えやすくなります。
陀羅尼が一番覚えにくい
陀羅尼とは、インドのサンスクリット語に無理やり漢字をあてたお経なので、完全に意味不明です。
これはもう、ひたすら
- 声出し
- 反復
を毎日やるしか手はありません笑。
それでも、不思議なもので、毎日やっていると本当に嫌でも覚えてきちゃいます。
まとめ
今回は、お坊さんがお経をどうやって覚えているのか、その方法について解説しました。
その方法とは、
- 声に出す
- 反復する
- 毎日練習する
でした。
お経の意味を調べると、より覚えやすくなります。
日本語のお経:
意味が分かるので覚えやすい。
漢文のお経:
現代語訳を調べると覚えやすくなる。
陀羅尼:
意味はわからないので反復あるのみ。
お経に限らず、何かを修得するためには、
- 声に出す
- 反復する
- 毎日練習する
と、
意味を理解する
は全てに共通していますね!
簡単な近道がありますよ~というのは、逆に眉唾です!
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!
※記事中のイラストは、佐藤義英氏著「雲水日記」を参考にしています。
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