禅宗のお坊さんになるためには、「僧堂」と呼ばれる専門道場に入って修行生活をする必要があります。
さて、僧堂とはいったいどんなところなのでしょうか?!
結論から言うなら、思いっきり体育会系です。
普通に男同士の縦社会だと思ってください。
先輩によるパワハラ、後輩いじめ、同期どうしの足の引っ張り合い。
普通にあります。
これから僧堂に行かなきゃいけないっていう人がいたら、もう不安しかないだろうと思います。
僕も行く前めちゃくちゃ不安でした。
でも、大丈夫です。
必ずなんとかなります。
僕もずいぶん大変な思いをしましたが、なんとか乗り切ることができました。
あることを心がけることがポイントです。
今回は、僧堂のライフスタイルを解説し、そこからパワハラやいじめが発生するメカニズムについて考えてみます!
そして、それを乗り切る方法をお伝えします!!
それではいきましょう
僧堂ライフの基礎知識
新人修行僧には縦社会の洗礼が!
修行僧のことを「雲水」といいます。
ひとたび僧堂の門をくぐったら、雲水に自由はありません。
勝手に僧堂の外に出ることはもちろんできません。
起床・就寝や食事の時間も、一日のスケジュールも全て決められていて、常に集団行動しなければいけません。
まるで刑務所です( ゚Д゚)
特に新人雲水の扱いときたら…。
一番最初に教わることは、
「はい」か「いいえ」以外はしゃべるな。
です。
高校·大学の体育会系の部活でも似たようなところありますよね。
とにかく、先輩の言うことは絶対で、先輩が「カラスが白い」って言ったら白いんだそうです。
やれやれ…((+_+))
細かすぎるルールとキツい体罰
また、何の意味があるのかまったくわからないルールが山ほどあります。
- 前に進む時は左足から
- 後ろに下がるときは右足から
- いつも眉間にしわを寄せていなければいけない
etc…。
仏教となんの関係があるんでしょうか(*´з`)
ルールを破ったり、何か失敗すると、「低頭(ていとう)」というのをやらされます。
言い方を変えてるだけで、
要は土下座です。
何時間もやらされます。
半○直樹も顔負けです。
明らかに異様な光景なんですが、いつも誰かしらやらされているので、いつの間にか見慣れた風景になっていきます。
また、警策(けいさく)という木の棒で、何度も思いっきり背中を叩かれることも。
↓これです。

誤解のないように強調しておきます。
警策とは、本来は体罰の道具ではなく、坐禅中の眠気や雑念を追い払うための励まし棒です。
ところが罰則に使われるときはフルスイングなので、まるで凶器です。
特に冬は痛いんですよこれが…(+_+)
「ズバーン!!!」と物凄い音がします。
僕の先輩で、衣の裏側にに厚手の布を縫いこんで、痛みを回避しようとした人がいたんですが、音が「ポフ、ポフ」ってなってバレて、さらにぶったたかれるという悲劇も。
実はこれ、僧堂あるあるですww
つまり、パワハラが起きやすい要因として、
- 細かい規則と厳しい罰則によって規律を保っている
- 閉鎖された空間での生活
- 先輩の言うことは絶対!という人間関係
などがあります。
とにかくやっかいなのは、前時代的なパワハラ・モラハラも、
「それも修行だから。」
の一言で片づけられてしまうことですね(*´Д`)
一般社会の感覚からすると、
僧堂ヤバいですよね。
…でも、実は一緒なんです。
一見、俗世間とかけ離れた生活をしているように見えて、僧堂は一般社会と全く同じなんです。
僧堂生活は社会の縮図?
僧堂と一般社会の共通点
なぜ、僧堂と一般社会が同じなのでしょうか。
それは、僧堂生活とは、ごく普通の若者が、集団で細かい規則に従って生活しているだけだからです。
一般社会でパワハラが起きやすい環境といえば、
- 部活の先輩後輩の関係
- 校則が厳しすぎる学校
- 古い体質の企業
などですが、
普通の一般社会でのパワハラが起きている環境も、僧堂と基本的に同じです。
- 細かい規則と厳しい罰則によって規律を保っている
- 閉鎖された空間での生活(仕事)
- 先輩(上司)の言うことは絶対!!という人間関係
こういう環境って、学校や会社などの一般社会でもよくありますよね。
パワハラの原因は「やらされてる」修行?
確かに僧堂の生活って、朝が早かったり、毎日お経をあげたり、坐禅をしたりして、俗世間と違うことをしているから修行をしているように見えます。
でもそれって規則と罰則で強制しているだけのことです。
だから結局、「修行っぽいこと」をしているだけのことで、雲水たちの一番の関心事は、
「いかに先輩に怒られないか」
に集中しちゃいます。
「修行」という名目で、規則で縛って後輩を従わせる手段みたいになっちゃってます。
繰り返しになりますが、それって一般社会でも同じこと起こりますよね。
だから逆に言えば、一般社会の人間関係を乗り切っていく力が試されるとも言えるわけです!
なんでもいいから得意なことを見つけて乗り切れ!
まずは集団生活に必要なことを知ろう!
僧堂生活は、言ってみればチームワークです。
集団生活が得意な人が向いています。
求められるのは、
集団行動の調和を乱さず、先を読んで率先して行動できる人
つけ加えるなら、物事にミスが少ない人です。
- 周りをよく見て
- 空気が読めて
- 要領がいい人
ならすぐに慣れます。
こういう人は、普通の会社などで仕事をさせてもうまくこなせるでしょう。
ただ、僕がそうであるように、周りが見えず、空気が読めず、要領が悪い人もいます。
集団で生活しているから、いろんな人がいます。
- お経が覚えられない人
- 坐禅で寝ちゃう人
- 教わった通りに動けない人
- 周りのペースについていけない人
etc…
でも、なんとかして自分の居場所を見つけることができれば、必ず乗り切ることができます。
それほど難しいことではありません。
自分が得意なことを見つけることです。
得意なことは必ず見つかる
最初に挙げた、周りをよく見て気を配れる人なら一番いいですが、それが苦手なら、なんでもいいから頑張れることを見つけましょう。
必ず見つかります。
集団の中での要領のよさ以外にも、求められる能力は多岐にわたるからです。
なんでもいいんです。
- 坐禅のときは絶対に真剣に取り組む
- お経の声は誰よりも大きく
- 力仕事をするときは絶対に役に立てる(雲水はけっこうガテン系の仕事が多いです)
- 食べる量は誰にも負けない!(別記事で書きますが、大食漢の雲水は重宝されます)
- 先輩へのゴマすりなら任せろ!
などなど。
ほんとになんでもいいんです。
集団で生活していると、どうしても自分のダメなところがあぶり出されてきますが、逆に、得意なことや頑張れることも必ず見つかります。
そして、何か一つでも頑張って取り組んでいれば、必ず誰かが見ていて評価してくれています。
僕の場合は、お経の練習は真剣に取り組み、誰にも負けない声を出すと決めていました。
普段はドジでノロマな亀でしたが、おかげでお経の声だけは認められていました。
僧堂を出てからも、お経の声がいいですね、と檀家さんや周りの和尚さんから言ってもらえます(^^ゞ
- 自分の苦手なこと
- 得意なこと
- 我慢できること
- できないこと
などなど、
自分のことが見えてきたら、得意なことを思い切り頑張ってみることです。
ダメなところは改善する努力はしたほうがいいですが、ある程度割り切りも必要ですね。
しつこいようですが、一般社会も同じですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?!
僧堂でパワハラやいじめが起きやすいことと、それを乗り切る方法をお伝えしました。
ぶっちゃけ、お坊さんのかっこうをしていますが、実態は一般社会の人間関係とおんなじだということです。
僧堂の中で求められる資質は一般社会でも求められることで、それを補う方法も同様です。
【僧堂生活を乗り越えるには】
- 基本は集団行動!周りをよく見て率先して動く!
- 注意深くミスをしないこと!
- それが苦手なら、なんでもいいから得意なことを見つける!
朝が苦手とか、ベッドで寝られないとか、冷暖房がないとか、フィジカルなことは、逆に集団のパワーで必ず乗り切れます。
やはり、リタイアしてしまう人は身体がついていかないというよりも、メンタルの部分が原因であることが多いです。
これだけは他に負けないぞ!ということを見つければ、必ず居場所ができます。
大勢の人間がいれば、嫌な奴は必ずいます。
でも、自分の居場所さえ確保すれば、そんなものは右から左へ受け流せます。
そうすれば、僧堂ライフもなんとかなりますよ!